Vue.jsとは:特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説
2023.09.15 /
本記事ではJavaScriptフレームワークの一つ、Vue.jsについて詳しく解説していきます。
Webアプリケーションの開発ではWebブラウザ側の処理である「フロントエンド」と、サーバー側の処理である「バックエンド」があります。
Vue.jsとはフロントエンド側の開発で利用される、現在最も人気があり注目されているフレームワークです。
本記事を通して、Vue.jsの特徴や他のフレームワークとの違いについて理解を深めてください。
Vue.js
Vue.jsとは
Vue.jsはWebアプリケーションの開発で利用されるJavaScriptフレームワークの一つです。JavaScriptのフレームワークには他にReactやAngularなどがあります。
フレームワークとはWebアプリケーションやシステムの開発を容易にし、迅速かつ効率的な開発を可能にする開発支援ツールです。フレームワークを土台として、各プロジェクトの機能を追加していくことで効率的にWebアプリケーションを開発できます
Vue.jsはUI(ユーザーインターフェース)の構築をするためのツールや機能を提供します。Vue.jsを利用することでJavaScriptで1からコードを記入するよりも格段に開発効率を上げることができます。
UI(ユーザーインターフェース)とはユーザーとサービスの接点(インターフェース)を意味します。Webアプリケーションではサイトの見た目や使いやすさを指します
Vue.jsは元GoogleのEvan You氏によって開発されました。現在の最新バージョンはVue3であり、Vue2からメジャーバージョンアップされ2020年9月に正式リリースされました。Vue3はVue2と比べて再利用性やパフォーマンスが向上しています。2023年9月現在の最新バージョンはv3.3.4です。
通常のソフトウェアではバージョンが上がったとしても、古いバージョンの機能を踏襲します。しかしVueにおいては、Vue2とVue3は全く異なるソフトウェアとなっています。Vue2のプログラムはVue3では動かないことがほとんどです
Vue.jsのインストール方法
Vue.jsをWebアプリケーションで利用できる環境にするには以下の方法があります。
- CDNの利用
- ローカルにダウンロードしたVue.jsのコードを保存して読み込む
- npmでパッケージを保存する
最も簡単な方法がCDNの利用です。以下のScriptコードをプログラムに挿入するだけでVue.jsを利用できるようになります。
<script src="https://unpkg.com/vue@next "></script>
上記Scriptタグにより、CDNサーバーからVue.jsのスクリプトファイルを読み込み、Vueを使える状態にしてくれます。
またはNode.jsをインストールすることでWindowsやMac、LinuxなどOS関係なく自動的にVue.jsの環境が構築されます。
Node.jsとは
Node.jsとは2009年にリリースされたサーバーサイドでJavaScriptを使ったプログラミングを可能にしたJavaScript実行環境です。
Node.jsが登場することでサーバーサイドもJavaScriptで開発する、つまりサーバーサイドもクライアントサイドもすべてをJavaScriptだけで作れるようになりました。
Node.jsについて詳しくは以下記事をご参照ください。
Node.jsとは:特徴やインストール方法をわかりやすく解説
Vue.jsの特徴
Vue.jsには次の特徴があります。
- 簡単に始められる
- 高い柔軟性
- リアクティブ機能によるデータの自動更新
- ディレクティブ機能によるDOM操作の自動化
- コンポーネントベースのアーキテクチャ
- SPAの開発で利用されることが多い
- 大規模な開発には向かない
簡単に始められる
Vue.jsを利用する場合、CDNであればたった1行Scriptタグを記入するだけで簡単に利用開始できます。
また文法はHTMLに似ており、シンプルに設計されているため学習コストも低く抑えられます。
高い柔軟性
Vue.jsは他のJavaScriptライブラリと一緒に利用できます。そのためWebアプリケーションの一部分だけVue.jsを利用することもできますし、すでに稼働しているWebアプリケーションに組み込むこともできます。
新規開発だけでなく、既存のWebアプリケーションにVue.jsで機能を拡張することができる柔軟性は他のフレームワークにはない特徴です。
リアクティブ機能によるデータの自動更新
Vue.jsではリアクティブ機能によりデータが更新されると自動的に変更を検出し、画面表示が自動で更新されます。
リアルタイムで最新の情報を表示したいWebアプリケーションであれば、Vue.jsによる開発はメリットが大きいです。
ディレクティブ機能によるDOM操作の自動化
ディレクティブとはHTMLの要素に動的な動作やデータのバインディングをさせる属性を指します。
ディレクティブによりDOM操作を自動化させ、HTML要素の表示・非表示などを簡単に実現できます。DOM操作をするコードを削減できるため、開発時間を大幅に短縮できます。
ディレクティブは「v-」の接頭辞を必ず持ちます。「v-bind」や「v-model」、「v-for」など様々なディレクティブが備わっており、これをHTML要素に追加することで様々な機能を実現します。
コンポーネントベースのアーキテクチャ
Vue.jsはコンポーネントベースのアーキテクチャ(構造)を採用しています。わかりやすく言うと、Vue.jsはWebアプリケーションのユーザーインターフェースを再利用できる小さな部品(コンポーネント)に分割して開発を行い、それらを組み合わせることでUIを構築する仕組みをとっています。
コンポーネントベースのアーキテクチャを採用することで次のようなメリットがあります。
- 各ページでコンポーネントの使いまわしが可能
- 保守性の向上
- 理解しやすい階層構造
- 入れ子(ネスト)構造が可能
まずUIを小さな部品に分割して開発することで、同じスタイルや機能を必要とする複数のページで使いまわすことができます。また各コンポーネントは特定の限定されたスタイルや機能のみを担当します。そのためコードは管理しやすく、バグが発生しても影響を小さくできます。
コンポーネントは階層構造であるため、視覚的にわかりやすいです。また入れ子構造で開発できるので、複雑なUIでも階層化して、理解しやすいコード構造を持たせることができます。
SPAの開発で利用されることが多い
Vue.jsはSPA(シングルページアプリケーション)の開発で利用されることが多いです。
SPA(Single Page Application)とはWebアプリケーションの開発手法の1つであり、単一のHTMLで画面遷移することなく動的にコンテンツを変化させるWebアプリケーションです
Vue.jsの特徴であるリアクティブ機能でリアルタイムで最新のデータを反映できます。また仮想DOMにより画面更新もスムーズです。このような理由からVue.jsによるSPA開発が多いのです。
大規模な開発には向かない
Vue.jsは大規模な開発には向いていません。大規模開発ではVue.jsではなくAngularの方が適しています。
Vue.jsでは小・中規模のアプリ開発に向いています。理由としてはコンポーネント間は相互(双方向)にデータをやりとりすることができます。これは設計の自由度を高めますが、規模の大きさによっては管理が複雑になってしまいます。
そのため大規模開発ではAngularやReact、小・中規模開発ではVue.jsが向いています。
Vue.jsのメリットとデメリット
Vue.jsの特徴からVue.jsを利用するメリットは次の通りです。
- すぐに始められる
- シンプルな設計で学習コストが低い
- 既存のアプリに組み込むことができる柔軟性
- リアクティブ機能によってリアルタイムで最新のデータを表示できる
- ディレクティブ機能によるDOM操作の自動化
- コンポーネントの再利用ができ、開発時間を短縮できる
- コードの管理がしやすい
- バグが少ない
- バグが発生しても影響が小さい
- 理解しやすい階層構造
Vue.jsのデメリットは次の通りです。
- 大規模開発には向かない
- ネイティブアプリの用途では利用できない(Webアプリケーションに限定される)
まとめ
本記事「Vue.jsとは:特徴やメリット・デメリットをわかりやすく解説」はいかがでしたか。
Vue.jsはUI開発に適した学習コストが少ないJavaScriptフレームワークです。ぜひ実際にVue.jsを利用して、SPAの開発などにチャレンジしてみてください。