【ラズパイ】監視カメラの自作方法:MotionEyeOS(動体検知、録画)
2025.02.27 /

本記事ではラズパイを使った監視カメラの自作方法(MotionEyeOSを使用)について詳しく解説していきます。
ラズベリーパイ(通称ラズパイ)とは小型・低価格のシングルボードコンピュータ(SBC)で、OSをインストールして普通のパソコンのように使うことができる優れものです。
このラズパイを使って簡単に監視カメラを自作することができます。OSとしてMotionEyeOSをインストールしますが、これは無料で利用することが可能です。
本記事を通して、ラズパイによる監視カメラの自作方法について理解を深めてください。
ラズパイ:MotionEyeOSとは
ラズパイで監視カメラを作成する場合、以下のソフトを使うことで簡単にラズパイでカメラシステムを構築することができます。
- Motion
- MotionEyeOS
- motionEye
- mjpg-streamer
本記事ではMotionEyeOSを使った監視カメラのシステム構築について説明します。
MotionEyeOSとはラズパイなどのデバイスで防犯カメラシステムを構築するための専用OSです。
デバイスにこのOSをインストールするだけで録画や動作検知などが可能なカメラシステムが完成します。カメラ映像はブラウザ経由で同一ネットワーク上であればいつでも見ることができます。
会社にMotionEyeOSによる監視カメラを設置し、VPN経由で自宅からでも社内の様子をリアルタイムで見れるようにしています
現在はRaspberry PI、Raspberry PI 2、Raspberry PI 3、Raspberry PI 4などで使えるOSイメージが配布されています。
MotionEyeOSは軽量なためRaspberry Pi Zeroでも動かすことができます
最新のRaspberry Pi 5でMotionEyeOSを使用することは推奨されていません。なぜならMotionEyeOSは数年間メンテナンスが行われておらず、最新のハードウェア「Raspberry Pi 5」には対応していないからです。
MotionEyeOSはオープンソースなので完全無料で使用することができます。ライセンスはGNU General Public License (GPL) のもとで提供されているので商用利用や改変も可能です。
MotionEyeOSを使う注意点として、これをインストールするとラズパイは監視カメラシステム専用のデバイスとなります。他の用途でもラズパイを使いたい場合はMotionEyeOSではなく、「motion」や「motionEye」などのプログラムを使ってください。
MotionEyeOSの特徴を以下にまとめます。
特徴 | 説明 |
---|---|
Webインターフェース | ブラウザでカメラ映像の確認や設定を行える |
OS一体型 | OSにカメラシステムが統合されている |
動画録画 | 最初から録画機能が備わっている |
動作検知 | 動きが会った時のみ録画をスタートできる |
GPLライセンス | 商用利用や改変も可能 |
軽量 | Raspberry Pi Zeroでも利用可能 |
MotionEyeOSによる監視カメラシステムの構築方法
ラズパイでMotionEyeOSを使って監視カメラシステムを構築する流れは以下の通りです。
- MotionEyeOSのダウンロード
- Raspberry Pi Imagerのインストール
- SDカードのフォーマット
- MotionEyeOSの書き込み
- ラズパイの起動
1.MotionEyeOSのダウンロード
以下のサイトからMotionEyeOSのOSイメージをダウンロードします。
上記サイトにアクセスしたら、使用しているラズパイ項目の「latest version」の左側にある日付のリンクをクリックします。これによりOSイメージが自動的にダウンロードされます。

使用しているラズパイの種類がわからない場合は以下のコマンドを実行することで確認できます
cat /proc/cpuinfo | grep Model
2.Raspberry Pi Imagerのインストール
Raspberry Pi Imagerとは公式がリリースしたOSの書き込み(インストール)ツールです。
ラズパイを動かすためにはmicroSDカードにOSイメージを書き込み(インストール)します。ラズパイではmicroSDカードがストレージの役割を担っています。
今までは「NOOBS」というツールを用いてOSをインストールしていました。Raspberry Pi Imagerが登場した現在では、NOOBSを使うことはほぼなくなりそうです。
公式でもRaspberry Pi Imagerを使って OS インストールすることが推奨されています。
Raspberry Pi Imagerのインストーラーは以下ラズベリーパイ財団のサイトからダウンロードできます。
インストーラーをダウンロードしたら以下の流れでパソコンにインストールしてください。
- ダウンロードしたファイルを実行
- 起動したインストーラーから「Install」を選択
- インストールが終了したら「Finish」を選択


3.SDカードのフォーマット
microSDカードへMotionEyeOSを書き込むにはmicroSDカードがフォーマットされている必要があります。
microSDカードは前項でインストールしたRaspberry Pi Imagerでフォーマット(Fat32形式)することが可能です。
パソコンにmicroSDカードを指したら、以下の流れでmicroSDカードをフォーマットしてください。
- Raspberry Pi Imagerを起動
- 「Operating System」に「Erase」を選択
- 「Storage」にmicroSDカードを選択
- 「WRITE」をクリック
- メッセージボックスからフォーマット完了を確認



4.MotionEyeOSの書き込み
SDカードをフォーマットしたら次にMotionEyeOSを書き込みます。書き込みには以下の流れで操作を行います。
- インストールしたOSイメージファイルをダブルクリックする
- アプリの選択画面が表示された「Raspberry Pi Imager」を選択して起動する
- ストレージにmicroSDカードを選択し、「書き込む」をクリックする


上記の流れでMotionEyeOSをSDカードに書き込めます。
5.ラズパイの起動
ラズパイにMotionEyeOSを書き込んだmicroSDカード、LANケーブル、USBカメラを接続したらラズパイの電源を入れます。
MotionEyeOSの初回起動時は必ずLANケーブルを挿して、IPアドレスが振られる必要があります(DHCP環境が必須)
MotionEyeOSによるカメラ映像の閲覧方法
カメラの映像を閲覧するにはブラウザで以下のURLにアクセスします。
http://IPアドレス または http://ホスト名.local/
ラズパイをモニターに接続している場合、CLIの画面にホスト名は表示されています。
IPアドレスで接続する場合は、ルーターからIPアドレスを確認する、またはログイン後に「ifconfigコマンド」を実行してIPアドレスを確認してください。
MotionEyeOSの初期ログインはユーザー名が「admin」、パスワードはなしです。
Webインターフェースからできる設定項目
Webインターフェースからできる設定項目は以下の通りです。
- Preferences
- General Settings
- Network
- Services
- Video Device
- File Storage
- Video Streaming
- Movies
- Motion Detection
Preferences

設定項目 | 説明 |
---|---|
Layout Columns | 横方向で1行に表示するカメラの数 |
Layout Rows | 縦方向で並ばせるカメラの数 |
Frame Rate Dimmer | Webページが非アクティブなときにストリーミングのフレームレートを下げてCPU負荷を軽減する設定 |
Resolutions Dimmer | Webページが非アクティブなときにストリーミング映像の解像度を下げて負荷を軽減する設定 |
General Settings

設定項目 | 説明 |
---|---|
Admin Username /Password | 管理者のユーザー名、パスワードの設定 |
Surveillance Username/Password | カメラ映像閲覧用ユーザーの設定 |
Time Zone | タイムゾーンの設定 |
その他にソフトウェアのアップデートやシャットダウン、再起動などがここから実行できます。
Network

Networkではネットワークの設定を行えます。有線ではなく無線接続(Wi-Fi)の場合は「Wireless Network」をオンにしてください。
またIPアドレスをDHCPによる自動取得から固定にしたい場合、IP Configurationを「Manual(Static IP)」に変更してネットワーク情報を入力してください。

Video Device

ここではカメラの設定を行います。
File Storage

ここでは録画したデータの保存先を設定できます。デフォルトではmicroSDカードが保存先として選択されています。
ここの設定を変更してNASやUSBメモリーカードなど別のストレージに保存することも可能です。
Video Streaming

Video StreamingをONにするとカメラ映像をリアルタイムで配信(ストリーミング)できるようになります。
ストリーミング映像はブラウザから以下URLにアクセスすると見ることができます。
http://IPアドレス:8081
上記URLにアクセスすると設定項目が表示されないライブ映像だけを見られる画面が表示されます。パスワードによる認証はデフォルトではないですが、パスワード認証有りに設定することも可能です。
設定項目 | 説明 |
---|---|
Streaming Frame Rate | ストリーミングのフレームレート(FPS)を設定 |
Streaming Quality | ストリーミング映像の画質設定 |
Streaming Port | ストリーミング用のポート番号(デフォルトは8081) |
Authentication Mode | ストリーミングにアクセス制限設定(デフォルトはDisabled) |
Streaming Frame Rate(ストリーミングフレームレート)」とは1秒間に表示される画像の数(FPS)を意味します。数値を高くすればスムーズな動きの動画になります。
Streaming Frame Rateは通常15 FPS程度に設定するのがお勧めです。
Movies

録画したファイルのファイル名やフォーマットなどを設定できます。
ここの「Recording Mode」では動画を録画するタイミングを設定できます。「Motion Triggered」では動きがあったときに録画を開始するモードになり、「Continuous」では24時間録画するモードになります。